バービー 感想
2023年7月某日、映画、バービーを観た。
フェミニスト映画だという先入観なしに、街中にあふれるピンク色のポスターにただ釣られて。
この映画、確かに初めはフェミニストやポリティカルコレクトネスを前面に押し出している感じがした。ただ、話が進むにつれてフェミニズムが本当に主題であれば問題がありそうな部分も散見される。極端なポリティカルコレクトネスと極端なアメリカ映画あるあるをネタとして描いた、最終的には「アメリカン」なおもしろ映画として、とても楽しい90分となった。
メインターゲット層は、リアルワールドの母親世代だろう。人形の髪を切り刻んでしまう部分とか、懐かしいあるある。
若い人が観たらどう感じるのだろうか。
バービーランドは、女性がすべてを動かす女性たちの理想郷、というよりは単純に異世界。
世界観や衣装の作りこみは圧巻で、ずっとバービーランドを観ていたい気分になった。
初めは70年代、80年代?風な服を着ているのに、バービーランドをバービーたちがケンから奪還するときには、2023年のファッションになっているところもいいと思う。
日本だと、バービー人形ではなくリカちゃん人形の方が主流で、そういえば私もひとつもバービー人形を持っていなかった(バービーだと思っていたのはジェニーだった)。
オッペンハイマー
2023年7月某日、フランスの映画館でオッペンハイマーを観た。
字幕はフランス語で、私の英語力とフランス語力では理解不足の部分もあった。
3時間という長い映画。実験シーンの爆発がなければ、やや単調で眠くなっていたかもしれない。
自らの探究心が(図らずも?)戦争に加担してしまったという点において、宮崎駿の『風立ちぬ』と同じような構成に感じる。しかし、『風立ちぬ』では主人公が設計に純粋な様子をかなり美しく描き、その純粋な探究心と頭によぎる戦争の悲劇の葛藤を描いている。
しかし、『オッペンハイマー』では主人公にはその美しさはなく、前半部分で人間性に問題があるように描かれ、同じように探究心とだんだんと詳細になってくる未来の悲劇との葛藤のようなものが描かれはしているが、実際に原子爆弾を使われてしまったショックを受けると同時に、話としては長年の周囲の人間への不配慮から、政治的に窮地に追い込まれていく様子に焦点が当てられている。
アメリカを中心に、太平洋戦争における原子爆弾投下の正当化を耳にすることもしばしばだが、この作品においては、アメリカの映画としては中立もしくは議論をさせない内容だった。全く正当化はしていないが、批判もしていない。
日本で教育を受ければ、必ず被爆者の経験を見聞きすることがあり、また、日本の戦争を舞台にした映画であれば、必ず普通の人の暮らしが破壊されていく場面がある。直接的に、戦争や核兵器に対する負の感情が生まれる。
『オッペンハイマー』ではそういった直視できないような残酷なシーンはないため、主人公のオッペンハイマーの描写伝いにしか、負の感情が与えられないようになっている。
森美術館東京シティビュー、へザウィック・スタジオ展:共感する建築
へザウィック・スタジオ展:共感する建築に行ってきました。
日本でも麻布台ヒルズの計画が着々と進んでいる、今注目されている建築家の展覧会。
模型やビデオで彼らが手掛けたプロジェクトを学べた。
会場構成はやや分かりにくかった。入ってすぐの空間は特に謎で、壁に大きく掛けてある説明書きのプロジェクトがどこに展示されているのかよくわからない。
展覧会の最後に設置してあるTEDtalksからは、トーマス・へザウィックの熱意が伝わってくる。ただ、彼の建築が古代遺跡のように数百年、千年を超えて残るようなものには見えなかった。
星の子、アマゾンプライム
2022年9月某日、アマゾンプライムで星の子を視聴。
ストーリーに意外性があるわけでもなく、どこかすぐそこにありそうなリアルな物語。
芦田愛菜が演じるちひろは、かなりおっとりしている。両親が新興宗教にはまって姉が家を出て行っても、中学生になってもまだ両親の世界を信じていた。自分のことが書きかけてある母親の日記に、堂々と似顔絵を描き続けている。
そんなちひろも、映画内の出来事で少しずつ考えが自立していく。
昨今の統一教会関係の報道を見ていると、2世信者は自分の考えを具体的に言語化して話す能力は同年代の人と比べて長けている気がする。そのような人だけが見えているだけかもしれないが。
きっかけはどうあれ、様々な年齢の子供やほかの世代と定期的に合ってコミュニケーションをとる場が子供時代からあるという点はうらやましい。なかなか今の時代の都市部では難しいと思う。